『デモクラシーか資本主義か』
-危機の中のヨーロッパ-
J・ハーバマス
イギリスのEU離脱のあたりから「そういえばヨーロッパのことよく知らんよなー」と思って気になったので買ってみた。
民主主義と資本主義はセットではなく、むしろ対立する部分も多いんだけど、その辺の折り合いの付け方とかをヨーロッパではどうやってきたのか、あるいは現在どういう問題があるのか、について書かれたもの。執筆はここ10年間ほどで、出版は昨年の6月。大御所の著作の割にはかなり最近。
「ヨーロッパ」という外部に関する現状把握としても、主題である「民主主義と資本主義」について「じゃあ日本はどうなの?」を考える上でも、面白い本だと思う。でも賞味期限は短め。今読むべき本かな。
『なぜ世界は存在しないのか』
マルクス・ガブリエル
最初に本屋で平積みで見かけたときには「胡散臭いなー。なんか無理やりこじつけたような安っぽい持論が書かれてるんだろうな」と思って遠巻きに眺めてただけだったんだけど、ある時パラパラめくってみたらわりと親切にまともなことが書かれていたので買ってみた。
哲学・現代思想の本のわりには、前提として必要な知識(誰々の〇〇論がわかってないと読み進められない、的な)はそれほどなく、最初から説明されているのでわかりやすい。
「新しい実在論」とは何か? みたいな読み方よりも、普通の哲学の入門書に入り口として著者の持論が用意されている、と思って読むと読みやすいかもしれない。
『FACTFULLNESS』Hans Losling
邦訳が出る前に読みたかったので英語版を買ったやつ。
世の中に数多ある「データに基づいた論証」の多くが、データを恣意的にねじ曲げて(改ざんという意味ではなく、論者に都合の良いように解釈して)利用している、という告発を行っている本。
「データを元にして書かれてるからと言って正しいとは限らないんだよ」という警告はとても良いと思うんだけれども、この本で「真実はこうなんです」と書いてあるものについても、やはり同じデータを別の角度から見て都合よく解釈しているに過ぎない点に注意。
なので、各例を丸ごと鵜呑みするのではなく「データからは複数の結論が導き出せるんだ」というこの本の本質の部分を理解するのが正しい読み方だと思う。
『意識に直接与えられたものについての試論』(時間と自由)
アンリ・ベルクソン
子供の頃から「他の人と自分で『時間』に関する考え方が違う」と思ってて、そのヒントにやっと出会った、と思ったのがこれ(純粋持続)。
「純粋持続」を感覚的にわかるかどうかがこの本を理解できるかどうかの境目だと思うので、そもそもこのテーマに興味がない場合には読んでも何も面白くないかもしれない。
翻訳違いでいくつか読んてるけど、写真にあるやつよりも岩波文庫版の方が読みやすかったように思う。
ちなみに「時間」よりも「自由」に重きが置かれてるけれども、リベラリズムについて書かれているわけではないので注意。
メーデーの話題からの、労働者の権利的な話
ベンチャーとか小規模の会社は別にして、結構大きめの会社だと経営者って若い頃にマルクス読んでたりして労働者の権利とかわりとちゃんと勉強してるんですよね。だから的を射た批判が来ればきちんと改善される可能性ってわりとあると思います。会社にとってはプラスだし。
一方で労働者は散発的に不満をぶちまけるだけで組織戦みたいなのができないので有効な手立てがない、みたいな。
そうなってる理由の一つに、今の労働者には左翼アレルギーみたいなのがあるので、「労働者の団結」みたいなのはバカにされたり嫌われたりする傾向にあるので手を出しにくいってのがあると思います。
「労組」って仕組みが良いか悪いかはともかく、労働者側のノウハウが蓄積される仕組み(の現代版)が必要なんだろうな、と。
TOMOKI++(脇元寛之)
マストドンインスタンス・ボカロ丼運営
議論のためのプラットフォーム「GironHub」運営
株式会社SGN 代表取締役
アウトラインプロセッサ「AUTLA(あうとら)」作者
被災地支援のためのマストドン研究会主宰
音楽/ロードバイク/写真(PENTAX)/お絵描き
お急ぎなご連絡などはメインのボカロ丼アカウント @tomoki までお願いします。
ツイッター:@tomokiwa