ファクトフルネス感想4
で、この本のポジティブな部分の感想。
著者がやろうとしているのは印象操作ではなくて「ファクトフルネス・フレームワーク」という、二元論を越えた、4段階分割式の思考/分析方法の提案なんだなーというのはわかった。
(なぜ4分割なのかとかは今のところ説明されていないし、特に新しさを感じるわけでもないけど)
あと「この本の読者はみんなLevel4(この本の中の用語での最裕福層)の住人であって、Level4 の人に Level1~3 のそれぞれの違いについて理解してもらうのはとてもむずかしいことだ」のようなことも書いてあって、この辺は著者の誠実さは感じた。
もしかしたら、この本を持ち上げたり出版させようとした人たちと、著者自身の間にも温度差があるんじゃないか。
ファクトフルネス感想3
「思い込みや感情から作り出された一般常識は間違っていて、事実から導き出された結論は正しい」
というのが全体を貫くメッセージなんだけど、この考え方そのものは良いとしてもこの本の中での使われ方としては「過去の分析は事実に基づいていない」というレッテル貼りになっているし、それはそれでかなり危険なんじゃないのか。
「データの読み方によって出てくる結論も異なる。たとえばこれまで常識と思われていた物事でも、別の視点から見ればこのような解釈が可能だし、このような結論も導き出され得る」
という風に「発想の転換」のプラクティスとして読むのがいいと思う。
先ほどのABCでいうと、Bをこの本のエッセンスだとして読むと実のある内容なんだけれども、AとCだけを要約してまとめてしまうと、ただの保守的な勝ち組擁護本になってしまう。
ファクトフルネス感想つづき
各章だったり、セクションだったり、センテンスだったり様々だけど、だいたいこういうストーリーの話し方になっている。
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A(序盤の2割ほど):
一般常識としてはこうですよね? でも違うんですよ。
B(中盤):
なぜかというと、これまでの見方はこうやってて、でもこれはこういう視点で見たら違う物が見えてくる。
C(最後の1割ほど):
つまり、こうなんですよ。
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で、前にも書いたけど、Aの部分は欧米エリートの偏見的にはそうなのかもしれないけど僕はそうは思ってないし、一般的な日本人もそう思ってないんじゃないかと思われるので、ちょっと読んでてストレスになる。
Bの部分は面白い。まあ普通に統計とかやってると切り口によって見え方が違うのは常識なんで何か新しいことを言ってるわけじゃないんだけど、実例がわかりやすいので統計学入門みたいな感じで普通に読める。
Cの部分は「え?そういう結論に行くの?」ってのがある。極論に行きがちだし飛躍していることがある。
TOMOKI++(脇元寛之)
マストドンインスタンス・ボカロ丼運営
議論のためのプラットフォーム「GironHub」運営
株式会社SGN 代表取締役
アウトラインプロセッサ「AUTLA(あうとら)」作者
被災地支援のためのマストドン研究会主宰
音楽/ロードバイク/写真(PENTAX)/お絵描き
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